天空の扉

天空の扉が開く時 光の先に見えるものは

マイケルは知っていた

マイケルは知っていた

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さて、マイケル・ジャクソン三連発なのだが、正直自分はこの人のことを良く知らない。良く知らないどころかまるっきり知らない、言ってしまえば“ニワカ”なファンだ。小学生の頃に夢中だったフィンガー5経由でジャクソン5を知って40年弱、40年近くも遠くに知ってる、遠くでしか知らなかったマイケル・ジャクソンは、いったい「スリラー」で何者を描いていたのか考えてみた…と言うか、この画像の眼を観て「ふと」こう思った。




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家庭用ビデオデッキが普及し始めた頃に始まった小林克也氏が“ビデオ・ジョッキー”をつとめる深夜番組「ベストヒットUSA」は、洋楽ファンにとっては“動いている外タレ”を観ることが出来きる唯一の貴重な番組だった。

アメリカ国歌をファズギターで奏でる早朝のウッドストックでのジミヘン、ジャック・ダニエルズを傾斜がかったステージ上でラッパ呑みするキース・リチャーズ、砂漠の中モヒカンでストラマキャスターを掻き鳴らすジョー・ストラマー。全て克也さんのこの番組で観た。録画や再放送が当たり前のスカパー!とかYouTube時代の現在から考えるとピンと来ないカモだが、そんなものが無い当時は、食い入るように見入り全てこの眼に深く焼き付けられた。

(三歳児が放送3週目で特撮物の主題歌をカンペキに覚えてしまうかの如き集中力なわけで)

そんな中、マイケル・ジャクソンのPV(→ショート・フィルム)も繰り返し流されていた。アルバム「スリラー」からのシングルカットである「ビリー・ジーン」、「ビート・イット」、そしてこの「スリラー」。(その頃まだマイケルは黒かった)


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当時、目的のミュージシャンですら“動いているその姿にのみ”夢中だったわけで、あまり眼中になかったマイケル・ジャクソンがどんな事を唄っているのかなど知る由もなし、当時のTV番組が日本語訳をテロップで流してたのかすら覚えていないのだけれど、今回追悼番組やWebでその詩をじっくりと読んでみた。

もちろんニワカのスタンスとしては代表曲(シングルカット)しか追求してないのだけれど、こんなにも直接的に生々しい事を唄ってるなんて驚いたし感動した。ニワカファンが少しだけコアに近づけた感じがした。



マイケルは愛と平和を唄っていた。
と同時にマイケルは怒っていたよ。

世の中の不条理に、エンタテイメント世界の魑魅魍魎たちに、そして手段を選ばない差別主義者たちにマイケルは怒っていた。何となくは伝わって来ていたけれど、顔を歪めて画面いっぱいに訴えかけていたのは、こんなにも具体的なメッセージだったんだなと今更ながら海より深く納得です。

そんな中飛び抜けて異質なのはこれ、「スリラー」
まずは訳詞を読んでみよう。
ここまで読んでくれたのならばそこのキミ、
流さないでじっくりと読んでみておくれよ。


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It's close to midnight
もうすぐ真夜中だ
something evil's lurkin' from the dark 
何か邪悪なものが闇の中に潜んでいる真夜中だ
Under the moonlight
月明かりの下
You see a sight that almost stops your heart
心臓が止まりそうな光景が目の前に現れる
You try to scream
叫ぼうとするけど、
But terror takes the sound before you make it
恐怖のあまり声が出ない
You start to freeze as horror looks you right between the eyes
怪物にじっと見つめられ、恐怖で体が凍りつき身動きもできない
You're paralyzed
君はマヒしてしまう
'Cause this is thriller,thriller night
そう,これはスリラー、スリラーな夜
And no one's gonna save you from the beast about to strike
だから襲い掛かろうとしている野獣から君を救ってくれる人なんていやしないよ
You know it's thriller,Thriller night
今夜はスリラー、スリラーの夜
You're fighting for your life inside a killer
君は、殺し屋のスリラーの館で命をかけて戦っている
Thriller tonight,yeah
スリラーの夜
You hear the door slam
ドアがバタンと閉まる
And realize there's nowhere left to run
何処にも逃げる場所がない
You feel the cold hand and wonder if you'll ever see the sun
冷たい手の感触、生きて再び日の光を見ることがあるのだろうか
You close your eyes
目を瞑り
And hope that this is just imagination
単に想像の世界の出来事であって欲しいと願う
Girl, but all the while
でもお嬢さん、君はそう願いながらも
You hear a creature creepin' up behind you're outta time
怪物が刻々と近づいてくる足音を耳にしている
'Cause this is thriller
そう,これはスリラー
Thriller night
スリラーな夜
There ain't no second chance
やりなおす機会なんてないのさ
Against the thing with the forty eyes, girl
40個も眼がある生き物に対してはね,お嬢さん
(Thriller)(Thriller night)
スリラー,スリラーな夜
You're fighting for your life inside a killer
君は殺人者のなかで自分の命を守ろうとしてる
Thriller tonight
今夜はスリラー
Night creatures call
夜の生き物が呼んでいる
And the dead start to walk in their masquerade
死者は仮面で顔を隠して歩き始める
There's no escaping the jaws of the alien this time
今度はエイリアンの上下の顎の間から逃げ道はない
(They're open wide)
顎がパックリ開いてるよ
This is the end of your life
これが君の人生の終わり
They're out to get you
怪物どもは君を捕らえようとしている
There's demons closing in on every side
すべての角を包囲してる悪魔たち
They will possess you
悪魔どもが君の周りを取り囲んでいる,やつらは君を捕まえるよ
Unless you change that number on your dial
ダイヤルの番号を変えない限り
Now is the time for you and I to cuddle close together, yeah
そして君と僕がぴったりと寄り添う時間は今このとき
All through the night I'll save you from the terror on the screen
夜通し、僕がスクリーンの恐怖から君を守ってあげる
I'll make you see
君を恐怖から解放してあげる
That this is thriller
これはスリラーだってこと
Thriller night
スリラーな夜
'Cause I can thrill you more than any ghoul would ever dare try
何故って僕はどんなゾンビよりも君を怖がらせることができるんだよ
(Thriller)(Thriller night)
今夜はスリラー、スリラーの夜
So let me hold you tight and share a
お互いにぴったりと寄り添い、そして分かち合おう
(killer, diller, chiller)
(ハラハラ,ゾクゾク,ドキドキ)
(Thriller here tonight)
(スリラーの怖さを一緒に共有しようよ・・・今夜ここで)
'Cause this is thriller
そう,これはスリラーだから
Thriller night
スリラーな夜
Girl, I can thrill you more than any ghoul would ever dare try
お嬢さん、君がどんなに怖いゾンビを見たとしても
僕はもっと君を怖がらせることができるんだよ
(Thriller)(Thriller night)
今夜はスリラー、スリラーの夜
So let me hold you tight 
お互いにぴったりと寄り添い
and share a (killer, thriller)
キラー、スリラーの怖さを一緒に共有しようよ・・・おぉ!
I'm gonna thrill you tonight
僕は今夜君をゾクゾクさせるよ
Darkness falls across the land
日もとっぷりと暮れ
The midnight hour is close at hand
真夜中になるのももうすぐだ
Creatures crawl in search of blood to terrorize y'all's neighborhood
怪物達が血を探し廻り、あたり一面を恐怖に陥れようとしてうろついている
And whosoever shall be found without the soul for getting down
誰でも人を撃ち殺した人は、自分が死ぬと
Must stand and face the hounds of hell and rot inside a corpse's shell
地獄の番犬に迎えられ、死体の内部から腐敗していく
I'm gonna thrill you tonight
僕は君をゾクゾクさせるよ今晩
(Thriller, thriller)
スリラー,スリラー
I'm gonna thrill you tonight
僕は君をゾクゾクさせるよ今晩
(Thriller night, thriller)
スリラー,
I'm gonna thrill you tonight
僕は君をゾクゾクさせるよ今晩
Ooh, babe, I'm gonna thrill you tonight
オーベイブ,僕は君をゾクゾクさせるよ今夜
Thriller night, babe
スリラーな夜だよ,ベイブ
The foulest stench is in the air the funk of forty thousand years
ひどい悪臭が空中に漂っている、4万年の悪臭が
And grizzly ghouls from every tomb
墓という墓から出てきた灰色のゾンビの群れが
Are closing in to seal your doom
最後の一撃を加えようとして、刻々と近づいている
And though you fight to stay alive
命をかけて戦ってはいても
Your body starts to shiver
体の震えは止まらない
for no mere mortal can resist the evil of the thriller
ゾンビがあまりにも邪悪なので、普通の人間にはとても抵抗などできはしない

以上

【訳詞引用元】
http://nao8148.blog.eonet.jp/default/2009/07/post-3366.html


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ん?
これは想像上の話なのかね?
現実的な歌詞ばっかりの中で、これだけは想像上のモノなのかね?


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“闇の中に潜む邪悪な者”とはいったい何者なのか?
“40個も眼がある生き物”とはいったい何者なのか?
その怪物は血を欲する?
エイリアン?
悪臭?四万年の悪臭?


「スリラー」のストーリーはこうだ。


闇夜の中クルマを停め語らう二人
歩き出し語らう二人
雲が晴れ満月が現れると
徐に狼に変化(へんげ)する彼


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(場面変わって「それはシネマ(フィクション)だよ」)

映画のシーンに怖がる彼女
その隣でポップコーンを頬張る彼
映画館を飛び出す彼女、追いかける彼

戯けてダンスしながら彼女の機嫌を取る彼
道路に隣接する墓場から蘇るゾンビたち
それらを引き連れて踊り続ける彼

(ここから「スリラー」のキモ、ダンスシーンが続く)

とある部屋の一室に追い詰められる彼女
「大丈夫だよ」と現実に引き戻す彼
安心した彼女の肩を抱き振り向いた彼の眼


スリラー


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この動画では観られないが、完全版のエンドロールには「この動画は現実の者とは一切関係ありません」とか「似てるような描写があったとしても、その者ではありません」といった但し書きがしつこいくらいに続く。異なるテロップが三回流れる。



表紙の画像は振り向いたマイケルのそのシーン


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↑ 恐らくはこんなのがモチーフ

そもそも“変身”って何なのか?
仮面ライダーとかウルトラマンとかギリシアの神話に視るけれど、
“変身”とかいったい何なのか?

最初から変身とは「想像上」だったのか?
元になったリアルがあったんじゃないのか?

これは“感”、
「スリラー」はマイケルが垣間見たであろう「レプ」の存在を示唆してると思われます。


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